岸田文雄前首相襲撃、殺意否認

 和歌山地裁
 和歌山地裁
 2023年4月、和歌山市で岸田文雄前首相の演説会場に爆発物を投げ込んだとして、岸田氏らに対する殺人未遂や爆発物取締罰則違反など五つの罪に問われた無職木村隆二被告(25)は4日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)で開かれた裁判員裁判初公判で「殺意はありません」と述べた。弁護側は、殺人未遂罪は成立せず、けがをした2人に対する傷害罪にとどまると主張した。

 冒頭陳述で弁護側は、被告は世間を良くしようと選挙に立候補を考えていたが年齢的にできず、選挙制度に不満を持ったと主張。交流サイト(SNS)への投稿や訴訟を起こしたが注目されず「有名な政治家がいるところで注目を浴び、自分の考えを世間に知ってもらおうと思った」とした。

 検察側は、人が亡くなる結果が生じても構わないと行為に及んだと指摘。「総理を狙い、周囲を巻き込んだテロ行為で民主主義の根幹を揺るがす。動機は身勝手、計画的で再犯の可能性がある」と主張した。

 被告は他に銃刀法、火薬類取締法、公選法にそれぞれ違反した罪にも問われた。