Freeウミネコ繁殖地、次世代に 蕪島 国の天然記念物指定100年

国の天然記念物に指定され、100年の節目を迎える八戸市の蕪島。豊かな自然を次世代に受け継いでいきたい=2021年4月
国の天然記念物に指定され、100年の節目を迎える八戸市の蕪島。豊かな自然を次世代に受け継いでいきたい=2021年4月

国内最大のウミネコの繁殖地として、国の天然記念物に指定されている八戸市鮫町の蕪島。毎年春になると3万~4万羽が飛来し、夏にかけて乱舞する。ウミネコの白、島を覆うナタネの黄、空の青、鳥居の赤―。色鮮やかなコントラストが毎年“ハマ”に彩りを添える。

 もともとは同市北東部に位置し、海岸から150メートル沖合の島だった。古くから信仰の場とされ、地元住民は心のよりどころとし、ウミネコを「豊漁を呼ぶ神の使い」と大切にしてきた。ウミネコの繁殖地として栄えてきた背景には、離島で天敵が侵入しにくいことや、八戸港に餌となる魚が豊富にあることなどが挙げられる。

 大正から昭和にかけて人の手が加えられ、陸地を結ぶ橋や近くには温泉が整備された。戦時中は軍事施設建設のため、日本軍による埋立工事が行われ、陸続きとなった。

 東日本大震災では津波に見舞われ、15年には蕪嶋神社が火災で全焼し、苦難が続いた。

 一方、震災を機に三陸復興国立公園に指定されたほか、みちのく潮風トレイルも整備され、“北の玄関口”としての役割が期待されている。周辺には休憩所や物販施設も新設され、誘客を進める態勢が整った。

 22年3月8日、国の天然記念物に指定されてから100年の節目を迎える。

 1世紀の間に大きく環境は変化したが、数多くのウミネコが飛来する状況に変わりはない。市街地に近く、間近でウミネコの繁殖や営巣の様子を観察できる場所は国内でも珍しいという。

 現在も八戸市の「市民の鳥」として愛されるウミネコ。そのゆりかごとなる蕪島を貴重な地域資源として守り、次世代に引き継いでいきたい。

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