Free三味線の自動採譜、実力を披露 八工大で特別授業

ピアノ伴奏の津軽じょんから節を学生に披露する松田隆行さん
ピアノ伴奏の津軽じょんから節を学生に披露する松田隆行さん

三味線の演奏を自動で譜面に起こす「自動採譜装置」の研究に取り組む八戸工業大大学院の小坂谷壽一教授がこのほど、同大で特別授業を行った。八戸市出身の津軽三味線演奏家で民謡歌手の松田隆行さんが、同装置によって変換された西洋譜によるピアノ伴奏に合わせ、民謡を熱唱した。

 小坂谷教授は伝統的な邦楽楽器の演奏法を譜面として残すことにより、伝統音楽の保存と記録化を実現しようと2009年から研究に着手。同装置では専用の三味線を弾くことで自動的に三味線譜と西洋譜に譜面化できる。

 工学部と感性デザイン学部の1、2年生約110人が受講。松田さんが三味線を演奏してピアノ伴奏譜に自動変換した「八戸小唄」と「津軽じょんから節」のピアノ音に合わせて2曲を披露した。松田さんは「ピアノの音は三味線より重厚感があるような感じ。歌っていて安心感がある」と語った。

 工学部1年の関口結実さんは「将来的にはオーケストラと民謡の組み合わせも実現できるのでは」と期待を膨らませた。

 小坂谷教授は「伴奏が違うことで新しい曲に聞こえた。西洋譜面への変換で邦楽に親しみやすくし、後継者の育成にもつなげたい」と話した。

 また、同大と松田さんは11月30日、自動採譜装置で制作した民謡100曲の三味線譜と西洋譜を八戸市立図書館に寄贈した。

 
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