Free【北奥羽の地名】辰巳屋小路(野辺地)/江戸時代の豪商に由来

北奥羽の地名
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「辰巳屋小路」は、野辺地町坊ノ塚にある、100メートル程度の小道だ。かつて町で強い影響力を誇った商人の屋号から取られたこの道を、近所の人たちは今も親しみを込めて愛称で呼び続けている。

 由来となった辰巳屋は、江戸時代中期に野辺地町に店を構えていた商人。交易のあった上方に源流があるとみられ、もともとは「田中屋」と呼ばれていた。

 店を構えた場所が、代官所から見て南東に当たる辰巳の方角にあったことから、辰巳屋と呼ばれるようになったらしい。

 羽振りの良さが“奥州第一”との記録も残る辰巳屋の絶頂期は津右衛門のころ。港に入った船に課税する間尺役に盛岡藩から任命されたり、大名にお目見えを許されたりと強い影響力を発揮。しかしその後、何らかの理由でお役御免となり、歴史資料の中に名前が出てくることはなくなった。

 一代で財を成しながら、突然姿を消してしまった豪商は、今や祗園まつりで演じられる「杓子舞」の歌詞の中と、小路の愛称として残るのみとなっている。
 ※ネット連載

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