Free瀬戸内寂聴さん死去 天台寺(二戸)名誉住職

 新刊を刊行し、記者会見する瀬戸内寂聴さん=2019年11月、京都市の寂庵
 新刊を刊行し、記者会見する瀬戸内寂聴さん=2019年11月、京都市の寂庵

愛と人間の業を描いた小説や心に寄り添う法話で知られ、文化勲章を受章した作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが死去したことが11日、関係者の取材で分かった。99歳。徳島市出身。自宅は京都市右京区嵯峨鳥居本仏餉田町7の1、寂庵。

 1957年、「女子大生・曲愛玲(チュイアイリン)」で新潮社同人雑誌賞受賞。「夏の終り」で63年に女流文学賞。「かの子撩乱(りょうらん)」「美は乱調にあり」などの伝記小説を次々に発表した。

 73年、岩手県の中尊寺で得度し、その後、本名も晴美から法名の寂聴に改めた。京都・嵯峨野の自坊、寂庵に暮らし、定期的に法話を開催。二戸市の天台寺住職も務め、現在は名誉住職。

 98年に「源氏物語」の現代語訳を達成し“平成の源氏ブーム”をけん引した。晩年まで創作意欲は衰えず、世阿弥を描いた2007年出版の「秘花」がベストセラーになった。17年、最後の長編小説「いのち」、初の句集「ひとり」を刊行した。

 06年に文化勲章。

 
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