Free清水寺観音堂「形見の歌」の背景紹介 県文化財保護協会滝尻さん講演

形見の歌について講演する滝尻善英氏
形見の歌について講演する滝尻善英氏

青森県文化財保護協会副会長の滝尻善英さん(63)は6月27日、青森市で開かれた同協会の総会後、国重要文化財に指定されている八戸市是川の清水寺観音堂に残された「形見の歌のらくがき」について講演し、「『日本最北の形見の歌』として大切に保存していかなければならない」と強調した。

 同市文化財審議委員副委員長も務める滝尻さんは、歌が書かれた板木を調査。これまで巡礼札とされてきたが、持ち運んで奉納するには大き過ぎるなどとして、観音堂の板木に墨で歌を落書きした物と解釈した。

 歌の1首目は「この文字が自分の生きた証しとして永遠に残ってほしい」という願いを込めた、各地の観音堂の落書きに残る和歌「形見の歌」だとし、2首目は「私が思うのはあなただけ」といった趣旨の恋の歌と判読した。

 講演では、「室町時代には観音信仰が広がり、巡礼が大衆化した」「単なるいたずらで書かれたわけではなく、信仰心に基づく願いが込められている」と歌が書かれた背景を紹介した。

 聞き入った会員らは、先人が残したメッセージに思いをはせた。青森市の男性(70)は「どんな人が歌を書いたのか、想像が膨らんでわくわくする」と笑顔で話した。

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