Free北奥羽の地名【鳥谷】/どんな由来?

【鳥谷=とや】

 青森、岩手県境にある南部町鳥谷地区の地名は、源義経北行伝説に由来する。1189年に平泉で自害せず、逃れた義経は家来の武蔵坊弁慶らと、浄法寺を経て名久井岳の東側山麓を通るルートで訪れたとされる。

 厳しく荒れた道ばかりの長旅の途中に、一行は峠で休憩。その際、見渡した眺めが素晴らしかったことから、義経は「皆の武運を祈る」と念じ、弓を満月のように引き絞り矢を放った。

 この場所は「矢放(やっぱなし)峠」と呼ばれ、秋葉神社が祭られている。矢は鳥谷の地名の由来であると伝わる「通矢(とおや)村」を経て、南方約8キロの「矢立峠」に突き刺さったという。

 2006年に閉校した町立鳥谷小の校歌には、「義経公のとおり矢に歌われて空美わしの」との歌詞が登場。平成に入り、地元町内会の働き掛けで町教委は3カ所に説明板を設置した。

 義経北行伝説は、八戸市など各地に立ち寄ったとされる場所が現在も残る。鳥谷地区の伝説は知名度は高くないものの、悠久の歴史ロマンが地域に息づいている。

 ※ネット連載

 
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