Free洋野の読み聞かせボランティア「いちょうの木」 コロナ禍で活動自粛、読み聞かせをDVD化

本の読み聞かせの撮影に臨む松浦律子さん=5日、洋野町
本の読み聞かせの撮影に臨む松浦律子さん=5日、洋野町

洋野町立大野小には、児童たちが楽しみにしている「時間」がある。月2回、授業前に行われる本の読み聞かせだ。地元有志でつくるボランティア団体「いちょうの木」によって10年以上続けられてきたが、本年度は新型コロナウイルスの影響で、年明け以降、中止を余儀なくされている。特別な時間を取り戻そうと同団体が始めたのが、読み聞かせのDVDの自主制作だ。代表の松浦律子さん(48)は「大好きな子どもたちへの小さなプレゼント。喜んでくれるとうれしい」と再び笑顔を届けられる日を心待ちにする。

 同団体は2009年に設立。40~70代の男女13人が交代で各学年の教室を訪れ、午前8時15分からの10分間、読み聞かせを行う。昔話や童話、ファンタジーなど、メンバーがそれぞれ選んだ本を、抑揚や強弱をつけて情感たっぷりに朗読し、子どもたちと一緒に物語の世界を旅してきた。「もっと聞きたい」「今度はこの本を読んで」。読み聞かせ後には、目を輝かせた児童たちがリクエストに来るほどの人気ぶりだ。

 12年目を迎えた本年度。新型コロナという見えない敵は、小さな町にも影響を及ぼした。活動の開始は昨年6月となり、例年より2カ月遅れた。メンバーは検温や手の消毒を徹底。交流に欠かせなくなったマスクが、朗読の際の息苦しさを感じさせたり、活動の原動力となる子どもたちの笑顔を見えづらくしたりするなど、もどかしさを感じつつも、貴重な触れ合いの時間を守ってきた。

 だが、新型コロナは収束の兆しを見せず、周辺市町村での感染状況を踏まえ、1月はとうとう中止せざるを得なくなった。

 「できることがまだあるはずだ」。読み聞かせのDVDの制作は、再開を待っている子どもたちに何かしてあげたいというメンバーの思いから生まれた。何度も話し合いを重ね、考えがまとまると、すぐに行動を起こした。

 2月3、5日に町立大野図書館で行われた撮影会では、メンバーたちが、いつものようにお気に入りの一冊をレンズ越しに紹介。コロナ収束の祈りも込めた温かい声が館内に響いた。

 DVDは完成次第、同校に届ける予定だ。松浦さんは「本は心の栄養を満たす魅力にあふれている。つらい時期が続いているが、物語の世界に浸って心を穏やかに過ごしてほしい」と願いを込める。「コロナが去った後は、子どもと本を交互に読み合うイベントも考えている。早く笑顔で再会できるといいな」。本がつなぐ絆はこれからも続く。
本の読み聞かせの撮影に臨む松浦律子さん=5日、洋野町

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