Free【月刊Dash】課題浮き彫り 敗戦を糧に/ヴァンラ―レ八戸シーズン統括

ホーム最終戦が終わり、サポーターにあいさつする選手たち=2020年12月6日、プライフーズスタジアム
ホーム最終戦が終わり、サポーターにあいさつする選手たち=2020年12月6日、プライフーズスタジアム

青森県南地方を拠点とするサッカーJ3のヴァンラーレ八戸がJリーグ参入2季目となる2020年シーズンを終えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、開幕が例年よりも約3カ月遅れた上、試合消化のため過密日程で行われるなど、激動のシーズンだった。成績はJ3初年度だった昨季を下回り、多くの課題が浮き彫りとなった。約半年間のチームの戦いぶりを振り返り、今年3月開幕の新シーズンでの躍進に向けたポイントを探った。

 (14日に発行の月刊Dash1月号ではヴァンラーレ八戸の今シーズンを総括。データや対談などから戦いぶりを振り返っています。ほかに中高・大学生のスピードスケート、上北ミニバススポーツ少年団やプロスポーツなどを取り上げています)

 Jリーグ所属2季目は中口雅史監督を迎え、チームは昨年1月下旬に始動。3月の開幕に備えて調整を続けていたが、新型コロナウイルス感染症の影響でリーグ戦は度重なる延期を余儀なくされた。4月には政府が全国一斉に緊急事態宣言を発令。八戸市内でも感染者が確認されたことなどを踏まえて、チームは全体練習を自粛し、約1カ月間は個人練習を強いられた。

 リーグは6月に開幕。12月までに全試合を終えるため、平日にも試合が組み込まれるなど、過密日程のシーズン。チームは中2、3日で迎えた試合ではスタメンを大幅に入れ替えるなど、総力戦で臨んだが、序盤からけが人が続出。DF近石哲平主将や、DF須藤貴郁ら、主力メンバーを欠くことも多かったが、選手らは「どのクラブも同じ条件。戦える選手でベストを尽くすしかない」と、勝利を目指し続けた。

 ただ、思いとは裏腹に、成績は伸び悩んだ。10月には成績不振のため、中口監督の今季限りでの退任が発表され、その後は事実上、葛野昌宏ヘッドコーチがタクトを振った。戦術の方向性がガラリと変わったことなどからチーム内には戸惑いも生まれ、チームは不本意な形でシーズンを終えた。

 成績は全34試合で8勝9分け17敗。勝ち点33、順位は18チーム中15位。順位、勝利数ともJ3参入初年度の19年シーズン(14勝6分け14敗、同48で10位)を下回った。今季終了後、近石主将は「走り負ける試合が多く、チーム内の戦術の浸透も甘かった」と唇をかんだ。

 来季は、Jリーグで監督を務めるために必要な「S級ライセンス」を取得した葛野氏が監督に昇格し、指揮を執る。クラブ側は今季課題に挙げていた守備面の立て直しに期待を寄せており、流れを失うような失点を減らしたい考えだ。

 日本フットボールリーグ(JFL)時代に監督を務め、J昇格に尽力した葛野氏。3年ぶりの指揮官復帰で当時持ち味とした「堅守の八戸」を再現できるのか、新体制で迎える新たなシーズンから目が離せない。

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ホーム最終戦が終わり、サポーターにあいさつする選手たち=2020年12月6日、プライフーズスタジアム

 
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