Freeトノサマバッタ食料利用へ研究 来年の販売開始目指す/弘大とTAKEO

食料利用が期待されるトノサマバッタ(NPO法人食用昆虫科学研究会の佐伯真二郎理事長提供)
食料利用が期待されるトノサマバッタ(NPO法人食用昆虫科学研究会の佐伯真二郎理事長提供)

弘前大は27日、昆虫の養殖や販売を手掛けるTAKEO(東京、齋藤健生代表)とトノサマバッタの食料利用を目指し、共同研究を開始したと発表した。世界的な人口増加に伴う食糧危機への懸念から注目される「昆虫食」は、栄養価が高い上、食材となる昆虫を環境負荷を少なく飼育できるのが特徴。特に食味が優れているバッタを商品化することで、課題解決に貢献したい考えだ。安定した生産体制を確立し、来年の販売開始を目指す。
 同社は、昨年から神奈川県厚木市の自社農園でバッタの商業生産に挑戦。技術顧問を務めるNPO法人食用昆虫科学研究会(東京)の佐伯真二郎理事長が仲介し、バッタを研究する弘前大農学生命科学部環境昆虫学研究室の管原亮平助教と協力することになった。
 同社によると、世界の昆虫市場は養殖しやすいコオロギが主流で、穀物や魚粉など栄養価の高い飼料を与えて育てている。一方、バッタは手軽さで劣るものの、イネ科植物の葉で養殖できるため、“非食料資源”で生産可能な環境に優しい食料だという。
 味は、牧草の爽やかな香りと強いうまみが特徴。素揚げすると川エビに似たサクサクとした食感で、おつまみのような感覚で楽しめる。香りを生かしたスイーツなどに応用できるという。
 共同研究では、管原助教がバッタの飼育条件の最適化や食用品種の選抜、専用飼料の開発を担当。同社の農場で実証実験を重ねながら、バッタに合った加工食品を開発し、商品を売り出したい考えだ。
 管原助教は取材に対し、「研究を社会に還元できる機会。このプロジェクトで明るい話題を提供し、県民に元気になってもらいたい」と意気込んだ。

 
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