Free八戸高専「酒の試験製造免許」取得、酵母研究/地場産ビール造りなどに活用も

酒造用フラスコを手に、研究の意義を語る山本歩准教授(右)。後ろの画面は「椿山酵母」の拡大図=21日、八戸高専
酒造用フラスコを手に、研究の意義を語る山本歩准教授(右)。後ろの画面は「椿山酵母」の拡大図=21日、八戸高専

八戸高専(圓山重直校長)は、学校や教育機関で酒類製造に関する研究に必要な「酒の試験製造免許」を取得した。これまで取り組んでいた酵母製造の研究を発展させ、産学官連携を進める狙い。免許を有する高専は全国でも珍しく、研究を担う山本歩准教授は「地場産のビールやワインなどへの活用も視野に研究したい」と展望を語る。
 酒税法では、教育機関などが研究目的で酒類を製造する場合、製造量の上限や製造場所を限定して免許を交付している。
 同校は2011年、酒母・もろみの製造免許を取得し、主に青森県内で採取できる酵母のアルコール発酵力の解析などを実施。近年は、平内町の夏泊半島の国特別天然記念物・椿山に自生するツバキから抽出した「八戸高専椿山酵母」を商業登録してブランド化し、既にむつ市内のベーカリーや酒造会社との商品開発を実現している。
 一方、酵母からの酒造研究は県産業技術センターに委託する必要があったため、自主的な研究を行う目的で今年2月に試験製造免許を申請し、6月25日に取得した。製造できるのは清酒、ビール、果実酒、リキュール、その他の5酒類で、年間2~5リットルが上限。期間は3年間で、その後更新する予定だ。
 山本准教授は今後の研究テーマについて、「椿山酵母は清酒だと酸味が強く、パンだと香りが芳醇(ほうじゅん)だと評価されている。それぞれの一般的な酵母との違いは何か、比較して解明したい」と説明。「授業でも製造が可能なので、学生にも酒造に興味を持ってもらえる。八戸ワインやクラフトビールなど、八戸での新たな酒造りと連携できれば、生粋の地場産としてPRポイントにもなる」と意欲を見せた。
酒造用フラスコを手に、研究の意義を語る山本歩准教授(右)。後ろの画面は「椿山酵母」の拡大図=21日、八戸高専

 
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