Free「学んだ技術広めたい」 セルビアからの留学生、南部菱刺しの制作体験/八戸

山田友子さん(右)の説明を受けながら作業するレア・エンベリさん
山田友子さん(右)の説明を受けながら作業するレア・エンベリさん

セルビア出身で、東京藝術大に留学しているレア・エンベリさん(30)が3月2~8日、八戸市を訪れた。期間中は南部菱(ひし)刺しの制作体験をはじめ、市美術館や是川縄文館などの施設見学を通して地域の文化に触れた。滞在を終え、「学んだ伝統技術の保存や伝承に取り組んでみたい」と意欲を語った。

 エンベリさんは3年前に来日し、同大油画専攻修士課程で学んできた。母国ではイラストレーターとして絵本の制作に関わるなど、作家活動を展開している。今回は、障害の有無や世代、性、国籍などによる違いや共通点と向き合い、一人一人のらしさを見いだしていく同大のアートプロジェクト「TURN」事業の一環で来八した。

 以前青森県を訪れた際に、南部菱刺しや津軽こぎん刺しなどの伝統的な刺しゅうに興味を持った。今回の滞在中は、同市在住の南部菱刺し作家で青森県伝統工芸士の山田友子さん(53)方のアトリエで菱刺し制作に臨んだ。

 山田さんから手ほどきを受け、ルールに従いながら編み目を数えて縫っていく細かい作業に挑戦。「おしゃべりも楽しくて、間違えてしまったこともあった」と苦笑いを浮かべた。「東欧にも刺しゅう文化があり、主に農閑期の冬場に女性たちが集まり、雑談をしながら制作するという点が似ている」と話す。

 山田さんは「覚えが早く多才。菱刺しのような伝統技術があるということを海外でも広く伝えてほしい」と期待を寄せた。

 エンベリさんは、「八幡馬がかわいくて気に入った。すしやせんべい汁もおいしかった」と、八戸滞在を満喫した様子だった。

 
お気に入り登録