Free【ヨーカドー沼館店閉店】八戸で44年、思い出あまた 「ポッポ」も行列

手を振り合い、別れを惜しむ従業員と買い物客=31日午後7時すぎ、八戸市
手を振り合い、別れを惜しむ従業員と買い物客=31日午後7時すぎ、八戸市

31日に営業最終日を迎えたイトーヨーカドー八戸沼館店。八戸市十三日町の八戸店を含めると、44年にわたり親しまれてきた。「ありがとう」「寂しくなる」―。閉店を前に大勢の買い物客が詰めかけ、それぞれに多くの思い出を刻んだにぎわいの場との別れを惜しんだ。

 店内に掲示された八戸店と八戸沼館店の写真を、スマートフォンで熱心に撮影していた同市の主婦柴田洋子さん(66)は「実家が八戸店に近く、昔からよく利用した。娘が生まれる準備も生まれてからも、日常に必要な物は全てヨーカドーでそろえた」と、思い出を振り返って涙ぐんだ。現在も週2、3回は通っていたといい、「店員さんの接客が優しく親切で、本当に気持ち良く買い物ができた」と感謝を示した。

 今川焼などが人気のファストフード店「ポッポ」は、ラストオーダーまで列が途切れなかった。最後の客になった同市の古川沙也加さん(34)は「ヨーカドーといえばポッポだった。最後に思い出ができた」と話し、長女美羽さん(9)は「もう来られなくなるのは悲しい」と、好物のフライドポテトを味わえなくなることを残念がった。

 「大好きな場所だった」「数え切れないほど思い出がある」。店に設けられたメッセージコーナーには、客の思いのこもった言葉が多数寄せられていた。

 午後6時35分、閉店の音楽が響き、客は整列した従業員に見送られ、別れを惜しみながら店を後にした。

 店の前では閉店セレモニーが行われ、大勢の客が見守った。あいさつに立った鍬田明美店長は「明日、店を開けることはもうないが、八戸の皆さんがヨーカドーと共に過ごした時間を胸に刻んでくれればうれしい」と、時折、声を詰まらせた。

 客から「ありがとう」の声と拍手が送られる中、シャッターが下り、ヨーカドーの八戸での歩みに終止符を打った。

 
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