Free時評(10月13日)

むつ総合病院で、看護師の退職が採用を上回る状態となっている。入院患者の受け入れ制限など将来の病院運営に支障が出かねないとして、運営主体の一部事務組合下北医療センター(管理者・宮下宗一郎むつ市長)は、夜間手当の見直しなど待遇改善に乗り出した。
 同病院は下北地域唯一の中核病院で、地域医療に果たす役割が大きい。働きやすい環境づくりにあらゆる手立てを講じて確保に努めてほしい。
 同病院の正職員看護師は343人(5月1日時点)で、必要数に対する充足率は95・5%。2017年度から退職者数が採用者数を上回り、このままでは21年度にも夜勤体制の維持に影響が生じるという。病棟の一部閉鎖に追い込まれる恐れも出ている。
 常勤医については64人(10月1日時点)と、昨年4月から10人増加。非正規雇用の看護師が外来患者を、正職員看護師が入院患者を担当するなどの分業で対応しているが、両方の患者が増えるようになったため、看護師の負担が大きくなっているという。
 同病院はさらなる離職を防ごうと、10月から夜間手当を見直した。夜勤10回目から1・5倍としていた手当を8回目から2倍とした。給与体系を引き上げるため、20年度から新たに役職を新設する。
 採用強化では一定期間の勤務で返済免除となる看護師の修学資金貸与制度を拡充。この他、採用年齢を45歳から50歳に引き上げることも検討している。
 2018年度の正職員看護師は採用11人に対して退職20人だった。同センター事務局によると、定年を除く15人の退職理由は「自らの健康問題」が1位で「配偶者の転居」「結婚・子育て・親の介護」が続いた。子育てと介護による退職は、負担を軽減する支援策や復職しやすい制度創設など考えられる対策があるはずだ。
 同病院だけの問題ではない。県国民健康保険団体連合会と県自治体病院開設者協議会がまとめた「県自治体病院勤務医等確保対策資料」によると、県内22自治体病院のうち、看護師の充足率が100%を下回るのは5月1日時点で三戸中央(81・3%)三沢(91・8%)五戸総合(94・9%)など12病院あり、平均は96・1%だった。
 医師不足ばかりが注目されがちだが、看護師不足も全県的な問題だ。待望の医師が増えても看護師がいなければ医療現場は成り立たず、地域医療が崩壊しかねない。