Free高齢農家の事故防止へ青森県が取り組み

高齢農家の事故防止に向け、青森県が活用を進める検査ソフト=8月、板柳町
高齢農家の事故防止に向け、青森県が活用を進める検査ソフト=8月、板柳町

農業者の高齢化とともに懸念される注意力の低下により、農機の運転ミスによる事故の発生リスクが年々高まっている。高齢農家に自身の運転能力を把握してもらおうと、青森県は本年度から、運転中の注意力を測定できる検査ソフトを活用するなどし、事故防止の啓発に力を注ぐ。秋の収穫時期を迎え、県は「自分の体力に合わせて農作業に取り組んでほしい」としている。
 8月中旬、板柳町で開かれた農機展示会の県ブースに、検査ソフトを体験できるパソコン1台が設置された。体験者は真剣な表情で白黒のタッチパネルと向き合い、一時的に車が表示された場所など回答を選んだ。
 体験した中泊町の稲作農家野村千代治さん(67)は「まずまずの成績だった。集中力はある方だと自負していたが、思ったより、うまくいかなかった」と検査結果を冷静に受け止めた。
 検査ソフトが開発された米国では、運転中の注意力を測定するため、高齢者の運転適用検査に活用されている。国内では、全国農業改良普及支援協会(東京)が国の補助事業を活用して導入し、全国に利用を呼び掛けている。
 青森県内では今後、11月中に新郷村役場の農業用免税軽油の申請手続きをする受付の近くに、体験ブースを設ける予定。同協会情報部の松本一成主幹は「検査を通じ、高齢化が進むとともに、運転中の注意力が散漫になることを自覚してほしい」と話す。
 県は、運転中の注意力が下がることで想定される事故として、▽ブレーキの遅れ▽後方確認の不十分▽農道幅の見誤り―などを挙げる。昨年8月には横浜町のほ場で70代の男性が農機を運転中、後方確認を怠り、後ろにいた70代の女性をひく事故が発生。女性は骨盤骨折などの重傷を負った。
 県は今後、検査ソフトを多くの高齢農家に活用してもらうため、健康診断会場に体験ブースを設置し、受診した農家が体験できる仕組みなどを考えている。県構造政策課の石澤雅史課長は「さまざまなきっかけを通して、自分の体力に見合った農作業を心掛けてほしい」と話している。
 7日現在、秋の農作業安全運動(8月15日~10月31日)の期間中、県内で発生した農作業中の死亡事故は三沢市と青森市の計2件。どちらも70歳以上の男性農業者で、農機を使用中だった。
 検査ソフトの利用に関する問い合わせは、県構造政策課=電話017(734)9461=へ。