Free天鐘(9月14日)

台風災害は、被災者数の単位で発展途上国型と先進国型に分かれるという。百、千、万の単位になるか一、十になるか。気象解説者で多くの著作を残した倉嶋厚さんのエッセー『季節の366日話題事典』に出てくる▼かつての日本は前者だったが、1959年9月の伊勢湾台風を機に、災害対策基本法が制定され、「防災大国」を目指すようになる。ただし、万全の対策を講じて備えたつもりでいると、大きな落とし穴が生じるとも▼いくら防災システムを高度にしても、機能しない場合は被害を抑えられるどころか、とんでもない二次災害が引き起こされる。そんな事態になれば、被害は「逆にけた違いに増大」。倉嶋さんは先進国の弱点も指摘した▼千葉県内で、台風15号による停電の復旧が大幅に遅れている。強風で倒れた電柱、大量の倒木、落雷。確かに作業を阻む事象が重なったとはいえ、初動対応の甘さが被害を広げ住民を追い詰めていった▼酷暑の中で冷房も水もなく、熱中症になり、失われなくてもいい命が失われてしまった。現在も命の危険にさらされている人がいる。とりわけ高齢者や病人は一刻を争う状況だろう。気が気でない▼せっかくの災害対策マニュアルと関係機関の連携体制は、なぜ十分に機能しなかったのか。備えるだけではもう安心できない。今や災害は、忘れる間もなく次々とどこにでもやって来るのだから。