Free十和田で外国人向け技能講習実施、「地方でも開催を」の要望受け

通訳の女性(左から2人目)のサポートを受け、玉掛けの技能講習に臨む外国人受講者=十和田市
通訳の女性(左から2人目)のサポートを受け、玉掛けの技能講習に臨む外国人受講者=十和田市

少子高齢化や人口減少に伴い人手不足に陥る青森県内の建設業や製造業で、外国人労働者の受け入れが進んでいる。一方、外国人向け技能講習の実施機関は大都市圏に集中し、地方では業務に必要な資格を取得しづらい課題が浮き彫りとなっている。十和田市の上北労働基準協会は昨年から管内企業の要望を受け、青森県内で初めてクレーン運転とクレーンのフックに物を掛け外しする作業「玉掛け」の講習を行って対応。今後、さらなる外国人労働者の増加を見据え、各地で対策が求められそうだ。
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 「ワイヤー、ヨシ!」
 「ハジメマショウ」
 6月28日、同市伝法寺にある実技教習所。同協会の技能講習に参加する外国人の受講者が3人1組となり、建屋の両壁に沿って稼働する「天井クレーン」と呼ばれる機械で、重量約1トンの鉄をつり上げる玉掛け作業に臨んでいた。
 建設業や製造業の現場は、事故が発生すれば重大な労働災害につながる危険な作業が多い。事業主は労働安全衛生法に基づき、労働者の免許取得や、技能講習、特別教育の修了を徹底させなければならない。
 この日の実技には、同24、25日の2日間の学科を修了した同市や七戸町、三戸町で働くフィリピン人と中国人の計5人が参加した。
 通訳のサポートを受け、受講者たちは片言の日本語を使いながら実習。正確な手順と慎重な操作が求められる作業を無事に終えるとほっとした表情を見せた。
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 同協会が外国人向け技能講習を始めたきっかけは、外国人技能実習生を受け入れる七戸町の三輪鉄建からの相談だった。
 当時、講習の開催場所は遠隔地に限られ、同社は受講料や宿泊、交通費に加え、随行者や通訳などのコスト増を懸念していた。
 「何とか近場で受講できないものか」。同社の求めに応じ、協会は迅速に対応。昨年11月から日本語に不慣れな外国人も受講できるように手続きを行った。
 山本聖二社長は「大変ありがたい。外国人は『労働力』でなく、『労働者』として日本人と同様に接している。会社が発展する力になるはずだ」と強調する。
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 法務省の統計では、18年末の県内の在留外国人数は5786人で前年と比べ13・0%増加。年々増え続ける外国人は、人手不足に悩む企業の貴重な“戦力”として今以上に活躍する可能性は高く、受け入れ態勢の充実が急務となっている。
 一方、青森労働局によると、県内で外国人向け技能講習を実施するのは、同協会に加え、津軽地方の民間企業がフォークリフト運転で行うのみだ。
 同協会の川上文男専務理事は「現場で働く外国人のため、講習場所がもっと必要になるだろう」と指摘。山本社長は「技能講習が一定の地域ごとに定期開催されるような仕組みづくりが重要だ」と訴える。