八戸市寺横町にある、１０４年の歴史を持つ老舗「柏木旅館」内に、イベントスペースがオープンした。８～１０日には、同市の演劇集団「ごめ企画」（柾谷伸夫代表）によるこけら落とし公演が行われ、中心街に新たに誕生した舞台の門出に華を添えた。

　柏木旅館は１９１９年に創業。近年は建物の老朽化や宴会の利用低迷もあり、昨秋から館内のリノベーションに取り組んできた。旅館１階奥の客室３部屋の畳やふすまを外し、壁や床の板を新たに張り替えるなどして、約４０平方メートルのイベントスペースとした。

８日に行われた公演には、旅館を運営する柏木七穂さんや柾谷代表らが出演し、南部地方に伝わる民話「南部昔コ」や演劇、手話を交えた日本舞踊、朗読などを次々と披露。訪れた市民約３０人は、繰り広げられる演技や話芸に見入り、演目が終わるごとに盛大な拍手を送った。

　友人と訪れた同市の女性会社員は、「レトロな旅館の雰囲気も良く、八戸にこういうスペースが誕生してうれしい」と絶賛。柏木さんは「多くの人に利用してもらえるイベントスペースに育てていきたい」と意欲を示した。