Free【北奥羽の地名】銀杏木(五戸町)/地域象徴する名木に由来

北奥羽の地名
北奥羽の地名

【銀杏木=いちょうのき】

 五戸町中心部から少し離れた水田地帯の銀杏木地区。かつて地域の象徴としてそびえ立っていたイチョウの木に由来する地名だ。

 樹齢数百年とされる名木だったが、1954年の台風で倒れてしまい、今はその雄姿を見ることはできない。同町の郷土史家、三浦榮一さんが出版する「流れる五戸川」によると、樹高約30メートルの大木で、根元には大人が宿ることができるほどの空洞があった。その場所は、現在は愛宕後地区にある高雲寺の跡地とされる。

 銀杏木地区は、町発祥の地ともいわれる由緒ある場所だ。三浦さんは「昔は地域の目印や目標などが地名に使われた。銀杏木もその一つだろう」と話す。

 自然豊かな同地区にはイチョウの木が点在する。「コムラのなんばんみそ」で知られるコムラ醸造の敷地内には、樹高10メートルを超える立派な木がある。深い色合いの緑の葉が特徴で、秋になると美しく黄葉してギンナンの実を付けるという。同社の関係者は「とても大きな木で“守り神”のよう。これからもずっと大切にしていきたい」と話す。

 
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