Free【北奥羽の地名】古里(六戸町)/お堂の名に漢字当てる

北奥羽の地名
北奥羽の地名

六戸町北部の折茂今熊地区に古里と呼ばれる集落がある。昔ながらの住宅地で、近くには青森県道10号三沢十和田線が通っている。かつては旧十鉄線の古里駅が存在。古里というのが郷愁を誘うイメージのため、人気のある駅だったという。

 ただ、地名の由来は故郷の意味の「ふるさと」ではないようだ。地元の歴史を研究している同町の長根富栄さんは「後世に漢字を当てはめただけで、もともとは古いお堂に由来している」と語る。

 かつてこの地域は馬の放牧地で、その中に一つのお堂があったという。そのお堂から本尊が400年ほど前に移され、折茂地区の今熊神社が出来上がった。そして本尊のあったお堂は「古御堂」と呼ばれるようになった。

 時代の変遷で、古御堂は地名となり、江戸末期ごろには「房堂」へと変化。そして、明治初期に地名を確定させる際、聞き取りをした政府が古里という漢字を当てはめたと長根さんはみている。このお堂は地域内に存在していたが数年前に撤去され、現在は残っていないという。

 
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