Free【猿楽の旅音日記】⑳「組曲 金田一温泉物語」秋の巻~爽籟~

小高い場所にある温泉神社。穏やかな時間の流れを感じる(楽曲のMVより)
小高い場所にある温泉神社。穏やかな時間の流れを感じる(楽曲のMVより)

秋になると、金田一温泉郷の風景は黄金色に変わる。国道4号沿いの温泉ゲート近くの田んぼでは、たわわに実った稲が風に揺れ、収穫に向けた農作業で活気づく。実りの秋を実感できる光景だ。

 温泉郷の外れの小高い場所には、温泉神社が建立されている。小さな社があり、すぐそばの立て看板には、神社の由来とされる神秘的な伝説が紹介されている。訪れた際には、ぜひ読んでみてほしい。

 神社の前は広場になっており、ベンチが置かれている。座ると、目の前にのどかな風景が広がる。紅葉の季節には、色づいた葉がひらひらと舞い散り、静けさの中で目を楽しませてくれる。そんな穏やかに流れる時間の中で、ベンチに座り曲を作った。

 ところで、温泉神社から下に向かって左手にある農園は、僕が「猿楽農園」と名付けてお借りしているスペースだ。これまでに、トウモロコシやジャガイモなどを育てた。

 二戸市長の藤原淳さんに勧められ、何となく始めた野菜作り。最初は分からないことが多かったが、農家や地主の方たちに助けられて実りの喜びを味わい、良い経験をさせてもらった。

 一日をゆったりと過ごしていると、そろそろ日が暮れてくる。馬渕川の水面に夕日が美しく映え、鳥が飛び立つ。

 出来上がった曲はしっとりとした優しい雰囲気で、たそがれ時の切なさもどこかに感じさせる。曲名の「爽籟(そうらい)」は爽やかに響く秋風の音を意味する。秋の夜長、虫の声とともに、ゆったりと聴いていただきたい。

 ※タイトル曲などのミュージックビデオ(MV)は、猿楽さんのサイト「にのへの旅音」で順次公開する。

 
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