Free時評(5月18日)

通常国会は会期末の6月26日まで残り約40日となった。夏の参院選を控え、安倍晋三首相が衆院を解散し、衆参同日選挙に踏み切るとの観測もあり、終盤国会では与野党が対決姿勢を強めることになりそうだ。
 前半の国会は圧倒的な多数を持つ与党側のペースで進み、一般会計総額が初めて100兆円を超えた2019年度予算は年度内に成立。「毎月勤労統計」などの統計不正問題もおざなりな答弁でかわし、追及した野党側は力不足を露呈した。
 与党は、残りの会期で、継続審議となっていた国民投票法改正案のほか、参院の定数6増に伴う歳費削減法案や、児童虐待防止法・児童福祉法改正案を成立させたい方針だ。これに対し野党側は、10月に予定される消費税率の10%への引き上げの是非や安倍外交に関する衆参予算委員会の集中審議の早期開催を要求している。
 児童虐待防止法・児童福祉法改正案については既に審議入りし、与党側は修正協議にも応じる方針だ。子どもの命を守るためにも早期成立を図ってほしい。歳費削減法案も与党側は、国民民主党が提示した歳費の自主返納案に同調する構えで、参院選前の決着を図っている。
 一方で国民投票法改正案は公選法に合わせて投票の利便性向上を図る内容だが、審議は進んでおらず、会期内に成立する見通しは立っていない。
 野党が要求している集中審議には与党側が消極的だが、ぜひ開催してもらいたい。米中貿易摩擦の激化で経済の先行きは不透明さを増すばかりで、3月の景気動向指数の基調判断は「悪化」に引き下げられた。
 立憲民主、共産など野党各党は「アベノミクスは破綻した」と攻勢を強めており、消費税率引き上げの中止を要求。与党内にも引き上げ延期論がくすぶっており、安倍首相には自らの口で政府の考え方を国民に説明することが求められる。
 外交も集中審議が必要だろう。首相はここにきて、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と「条件を付けずに向き合わなければならない」と日朝首脳会談実現に前のめりになっている。
 首相はこれまでの「対話のための対話では意味がない」との立場を転換したのか。北朝鮮との直接対話から日本だけが外されることへの焦りの表れなのか。丁寧に説明すべきだ。
 残り少なくなった会期の中で、参院選に向けて、有権者に分かりやすい判断材料を提供するような中身の濃い論戦を与野党に期待したい。