Free(10)企業の設備投資 佐藤雅裕・青森財務事務所長

今後の設備投資における重点項目の内容
今後の設備投資における重点項目の内容

昨年7月の着任以降、青森県内のさまざまな企業に赴き、企業動向に関する生の声をお聞かせいただいている。

 お話を伺うと、それぞれ業界特有の動向や景況感があり、その要因となる背景も多様であるが、新型コロナウイルス禍やウクライナ情勢など不透明な経済情勢の中、各社とも創意工夫により経営戦略を練って業績の維持・向上に努めていることがよくわかる。

 その経営戦略の重要な要素の一つに設備投資がある。設備投資は、企業の成長に必要不可欠なものであり、企業の景況感も反映されることから、個人消費や生産活動と並んで重要な経済指標の一つである。

 青森財務事務所が昨年12月12日に発表した法人企業景気予測調査では、2022年度の設備投資額について、非製造業が0・8%の増加見込みとなっているものの、製造業が30・5%の減少見込み、全産業では19・8%の減少見込みとなっている。

 一部の企業が前年度に大規模な設備投資をしている影響などもあるので、数値の増減だけで企業の景況を判断することは難しいのだが、生の声から得られる設備投資のスタンスやその内容を見ていくと、背景を垣間見ることができる。

 財務省が昨年10月に実施した設備投資に関するアンケート調査によると、県内企業の今事業年度における設備投資計画の着地見込みについて、78・6%が計画通り実行の見込みであり、設備投資を遅らせるリスク要因については「特になし」とした企業が約半数を占めた。

 一方で、原材料価格の高騰や供給制約の影響、自社の業績悪化をリスク要因として挙げる企業もそれぞれ10~20%程度あり、一部に経済情勢の不透明感を反映した結果となった。

 また、今後の設備投資における重点項目の内容については、機械投資が57・1%、建設投資が35・7%と多数を占めたが、情報化投資も21・4%に上った。この設問については、19年に同様の選択肢でアンケート調査を行っているが、この時と比べると機械投資、建設投資の割合が減少し、情報化投資の割合が増加している。

 県内企業の情報化投資の事例としては、従来からのシステム更新のほか、コロナ禍での新たな販路拡大や人手不足を補うためのインターネット販売のシステム構築などがあった。

 情報化投資に関連して言えば、昨年11月に青森県が発表した「青森県中小企業DX(デジタルトランスフォーメーション)実態把握調査」の結果も興味深い。デジタル化に取り組んでいる県内中小企業は76・9%で、全国の91・8%と比較すると低かった。一方で、DX推進の必要性を認識している県内中小企業の割合は77・4%で全国の58・9%より高く、県内中小企業のDX推進に対するニーズの高さがうかがえる。

 昨今の不透明な経済情勢の中、設備投資を計画通り実行していくのは容易ではないが、今後、県内企業においても経営戦略としてのDX推進や、それに伴う設備投資の重要性は増していくものと考えられる。

 県内企業の取り組みは道半ばではあるが、その必要性を認識してDX推進に向けた設備投資を行っている企業も徐々に増えてきており、コロナ禍による環境の変化や人口減少などの課題解決に向けた経営戦略の一つとして、今後もこの流れは続くであろう。

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