Free佐井産ビール5年目 認知度向上へ安定生産に力 ホップは都内ホテルでも

主力のクラフトビール「佐井の夕陽エール」。毎年開催するフォトコンテストの最優秀作品がラベルに使用される

佐井村の有志が取り組むホップ栽培とクラフトビール造りが2023年で5年目を迎える。21年産は銘柄4種類、計7560本を製造し、ほぼ完売。青森県内など各地で販売され、認知度も高まった。村産ホップは料理にも使用され、都内有名ホテルからも引き合いがあるという。担当者は「もっと認知度を上げられるよう、安定した生産を続けていければ」と意気込む。

 村は2016年10月、NPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟。ビール造りは村が進める「日本で最も美しい村づくり」の一環で、村民有志によるプロジェクトチームが中心となって19年から進めてきた。

収穫される村産ホップ=2021年9月、佐井村中道

ホップは村内中道地区と福浦地区の畑で7品種を栽培。収穫量は19年2・6キロ、20年13・5キロ、21年18・3キロと年々増加。22年は収穫前に大雨の影響を受け15・4キロとやや減少した。

 村産ホップを使用し醸造されるクラフトビールは、「佐井の夕陽エール」「福浦の歌舞伎ブラック」「海辺のカシス」「朝凪」の4種類。醸造は「世嬉(せき)の一酒造」(岩手県一関市)と「カネク醸造」(八戸市)に委託している。

 本格販売が始まった20年に計2700本、21年は計7560本を製造し、下北地域を中心とした青森県内商店や宿泊施設のほか、首都圏の飲食店でも販売され、好評を得た。

 また、村産ホップはビールだけでなく料理にも使用され、十和田市の奥入瀬渓流ホテルではパンに、都内老舗ホテル「オークラ東京」からは、料理の付け合わせとして注文があったという。

 20年から中心メンバーとしてホップ栽培とビール販売に関わる、一般社団法人「くるくる佐井村」の大畑彩美さん(36)は「休耕地の土作りから醸造、販売までいろいろと苦労もあったが、多くの人に佐井産ビールを知ってもらえてうれしい」と笑顔を見せる。

 クラフトビールは賞味期限が短いなど、「商品としては扱いにくい」(大畑さん)面もある。22年産ホップでのビール醸造はやや抑えめにするという。

 
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