Freeがん温熱療法で優秀論文賞 八戸高専・井関准教授が受賞

日本ハイパーサーミア学会の優秀論文賞を受賞した井関祐也准教授
日本ハイパーサーミア学会の優秀論文賞を受賞した井関祐也准教授

八戸高専機械・医工学コースの井関祐也准教授(34)による、がん治療方法の研究に関する論文が、日本ハイパーサーミア学会の優秀論文賞に選ばれた。ハイパーサーミア(がん温熱療法)は、熱によってがん細胞を死滅させることを目指す治療法。井関准教授は、超音波画像と人工知能(AI)を活用し、加温中の体内の温度分布を計測するシステムを構築した。

 井関准教授は2016年と21年にも、温熱療法の研究で同学会の賞を受賞している。今回の論文は20年12月に提出、21年7月に学会誌に掲載された。

 温熱療法を安全かつ効果的に行うためには、治療中に体内の温度分布を計測することが必要となる。井関准教授らの研究グループは、温度に応じて速度が変わる超音波の特性に着目し、超音波画像から温度分布を計測する方法を研究していた。

 計測の過程が複雑で、結果が解析者の経験に左右されるという課題があった。井関准教授は解析にAIのディープラーニング(深層学習)を導入。解析者の技量によらず、温度の推定、温度分布の把握ができることを明らかにした。

 現在はさらに簡単に高精度の計測が行えるよう、システムを改良。実験では主に寒天を使用していたが、より人体に近いモデルも活用して研究を重ねている。井関准教授は「今後も課題はたくさんあるが、一つずつこなしていきたい」と話している。

 
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