Free④「水産都市八戸の課題」 好ましくない1国依存

9月上旬、八戸港に水揚げされたスルメイカ。近年は不漁が続いている
9月上旬、八戸港に水揚げされたスルメイカ。近年は不漁が続いている

水産品輸出の現状は、どうなっているか。「漁業・養殖業生産統計」(例年5月末に農林水産省が発表)によると、近年の日本の漁獲量は1980年代後半のピークの3割程度しかない。全世界の漁獲量が30年間で2億トンと倍増したのとは対照的だ。

 八戸沖でもサバやイカがさっぱり取れない。八戸港では、サバの水揚げはピークだった70年代の年間40万トンから現在は1万トンに。イカは72~2019年の48年間、日本一の水揚げ量(全国の2割)だったが、21年は、全盛期のわずか4%。同港漁獲の9割を占めるサバ、イカ、イワシが逆風で、養殖以外は景気のいい話をしづらい状況が、この2~3年続いている。

 八戸広域圏の産品を海外販売網に乗せる商談会では近年、「安定的に供給できる魚種が少なくて…」と言う参加水産加工会社も増えている。原料確保のため輸入や他地域からの買い付けなどで苦労しているようだ。

 青森県からの水産品輸出の現状はどうだろうか。県農林水産食品全体の輸出額190億円(20年)に対し、水産品輸出は70億円弱(36%)。農林水産食品輸出額に対し、ホタテ14%、サバ5%、それ以外の魚とナマコ、水産物調整品がそれぞれ4%となっている。

 ホタテは陸奥湾産半成貝の少ない生産が国内に流通したこともあり、ホタテ輸出の3分の2を占める中国向けが、前年の半分程度(53%減)となった。全世界向けでも45%減。ホタテ輸出は94%を中国と香港で占めている。輸出額が変わるのは中国の影響だ。

 サバの輸出もコロナ禍で中国向けが大幅に増えた。漁獲量自体が少なかった19年は県内水揚げサバ輸出の1割が中国向けだったが、20年は同輸出額の94%が対中輸出。輸出2、3位のタンザニアとベトナムはそれぞれ2%に過ぎなかった。

 複数の八戸の水産会社によると、サバの漁獲時期に入る前に、冷凍されていた前年のサバが、中国向けにかなりの安値で大量に輸出されたのが理由のようだ。

 輸出額で見ると、中国やタンザニア向けは1トン当たり10万~11万円。14万円超のベトナムやナイジェリア向けが大幅に減っている。こういった国々に近年よく輸出されている小型のサバは、国内の缶詰用の需給により輸出に回されている関係にある。

 青森からは中期的に中国が最大の水産輸出相手先になりやすい。だが、輸出が1カ国依存となると、貿易摩擦が発生し輸出が止まった場合に、輸出企業が大きな打撃を受けてしまうため、決して好ましい状況とは言えない。

 21年の青森県水産品輸出は、中国と香港向けが計56%(20年82%)、ホタテ輸出も85%(同94%)でまとまり、1カ国依存が若干緩和された。

 水産品輸出ではベトナム(約10億円)が前年の3倍余りの伸びを見せ、香港向け(12億円弱)とほぼ同規模となった。水産輸出先の多様化の観点では心強い。

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