Free再生古民家にみんな集まれ 佐井にコワーキングスペース

築約150年の古民家をリノベーションしオープンした「古民家カネシチ+」=佐井村
築約150年の古民家をリノベーションしオープンした「古民家カネシチ+」=佐井村

地域内外の人たちが気軽に集える場所に―。佐井村にある築約150年の古民家が4月、村内の小売業「コメイチ」(奥本太朗社長)や村民有志によってリノベーションされ、コワーキングスペース「古民家カネシチ+(プラス)」としてオープンした。リモートワークに対応し、オープンキッチンも備える。奥本社長は「多くの人々が集い、さまざまなアイデアが生まれるような場所になれば」と期待を込める。

 村中心部にある古民家は江戸時代後期から明治時代初期の間に建てられ、当初は辻儀八氏が所有。その後の所有者の屋号から「カネシチ」と呼ばれるようになった。25年前、コメイチが古民家を仮店舗として借りて以来、長らく倉庫として使用してきたという。

 しかし、度々雨漏りに見舞われ、野良猫や野生動物がすみついてしまう始末。奥本社長は「壊すのはもったいない。何とか維持できないだろうか」との思いから、昨年、村が募集した「リモートワーカー等移住受け入れ促進事業」に応募。採択された。

 「ぼろ家」の状態だった古民家のリノベーション計画が始まったのは昨年11月。古民家のリノベーションを多く手がける、函館市の建築家富樫雅行さん(42)の指揮の下、有志が集まり作業に当たった。

 設計に当たり、富樫さんはカネシチに関して取材。所々に使われているウサギの形をしたくぎ隠しや、はりの形状が飛騨高山の陣屋によくあるもので、北前船を通じて伝わった建築技術とみられることや、当初の所有者の辻氏が佐井から移住して函館で造船所を経営した辻松之丞氏と関わりがある可能性を突き止めた。

 その結果、富樫さんがまとめた構想は「小さな漁村のちいさい造村所+DOCK」。かつて港に面していた裏口からの動線を確保し、低い天井の一部を剝がして開放感を持たせたほか、土間の位置を変えるなどして、柔軟に使い方を変えられるようにした。

 3月末までに作業は終了したが、今後は移住体験、旅先で働くワーケーションにも対応できるよう、2階に宿泊できるスペースを設けるなど、さらにリノベーションを重ねる予定。

 富樫さんは「今回事業に携わり、函館と佐井の運命的なつながりを感じた。未来に向けて、わいわいと使ってもらえたら」と話す。

   ◇    ◇

 「古民家カネシチ+」の利用料は1人当たり3時間500円、1日千円、貸し切りは半日3千円、1日5千円(いずれも税込み)。利用時間は午前9時~午後7時。問い合わせはコメイチ=電話0175(38)4108=へ。

 
お気に入り登録